あら、アナタ、いいところに来てくれたわ。
アタシ、朝から何も食べていないのよ。

この頃の母の第一声は、何も食べていない、
お腹が空いたということが多くなりました。

ユニットのリビングには一週間のメニューが
壁に貼ってありますので、見て母に申しました。

朝は鰯の甘露煮ともやしの和え物やから、ご飯
やね。お昼ご飯は石狩鍋になってたわ。

それを聞いた母は、素直に食べさせて貰った
ことを認めました。

時間は午後4時でした。

お腹が空いているかもしれへんね。
あと、1時間でお夕食やもん。


家から飲み物を持参してくるのを忘れてしまい、
自販機でリンゴジュースを買ってきたので、
それを飲ませました。

久しぶりで美味しいわ。

おっかさん、誤魔化してしもたわ。


いつものようにエンドレスな会話をしており
ました。

すると、ポータブルトイレを一人で使える母が
言いました。

アタシ、トイレへ行きたい。
ここでしてもいいの?

これで、アタクシは帰ることが出来ると小躍り
したい気持ちを抑えて、

じゃあ、外のトイレを使おうね。
もう、お夕食になるから、ちょうどいいわ。

トイレをスタッフさんにお任せし、アタクシは、
手荷物をまとめて帰り支度を。

トイレから出てきた母は、アタクシが来たことを
忘れてしまっています。

これを利用して、何も言わずにユニットを出ます。


アタシのお迎えはいつになるの?

すると、スタッフさんが母に言っていました。

みっちゃんさん、お迎えは明日なんですよ。
お夕食を用意しましたので、今日はそれを召し
上がって、泊って下さいね。

まあ、お食事が出るのね!
アタシ、食べることが大好きだから、およばれ
していくわ。

このやりとりは、認知症患者の帰りたいコール
へのセオリー通り。

わかっちゃいるけれど、母は認知症なんだと。

013

昨日、バイトの登録に行ってきました。

SPOTと表される、単発のお仕事なんですが。

契約書には、「日雇い」とありました。

複雑な気持ちです。