“あなた、2億円返してくれる? 持ち出した
わよね!”


兄は義母から突然に、電話で言ってきたとき、
おかしいと思いつつも腹立たしくもあったと
申しておりました。


認知症の初期には、「物盗られ妄想」があり、
事実ではなくても、「盗った」という言動が
ございます。


現実が正しく認識できなくなっているからで、
それは、脳の細胞が壊れることによって直接
起こる中核症状と呼ばれるものです。

中核症状とは、記憶障害、見当識障害、理解
や判断力の低下、実行機能の低下などの症状
をいいます。

※厚生労働省のHP「認知症の取り組み」より



母もアタクシに、


アナタがこの指輪の石を取り換えたでしょ!


とよく言っておりましたっけ。


また、母のすぐ上の姉である伯母が、電話で


「あの子がね、私からお金を持っていくのよ。
お母さん、必要だからって。」


とこれまた、毎回、母に話をしており、母も
それを真に受けて、二人で従姉の悪口を散々
言っていました。


今、思えば、それも、伯母の認知症の為せる
ことだったんですね。


それも、妄想の辻褄が実によく出来上がって
おりますので、それを初めて聞く人は、ウソ
だとは気が付かないのでございます。



しかし、兄の2億円持ち出し疑惑事件の場合、
アタクシは、あり得ないと思いました。


それは、金額の問題。サラリーマンが2億円と
いうお金を扱えるわけがございませんもの。


一時期、ドイツに本社がある鍋メーカー会社
の日本支社の社長をやっていた兄に対して、
義母は、5人兄弟の中の唯一の女の子である
義姉のことを心配していたからではないかと
思われます。


金額が、2000万、200万ならば、ほんまに持ち
出したんとちゃうか?疑うかもしれません。



母はこの頃、よく申します。


昔は、ここを耕したものよ。
家を建てちゃったものだから、もう、土地が
ないのよね。


これだけ聞くと、なるほどとお思いでしょう。



我が家は25年前からずっと、変わりません。


この家は、もともとが建売住宅や!!