この日もいつもの面会パターン。

ワンコの散歩を済ませ、いつもより、少し早い
午後3時過ぎに、お昼寝中の母の部屋へ。

ほんとは、午後4時近くに行きたかったのですが、
ユニットのリビングには、Sさんとココちゃんの
お母さんの二人だけでした。

ミック君のお母さんとヒデコさんが居れば、
二人と、軽くおしゃべりをするのですが。


ノックして、部屋に入ると母は寝ていました。

あら、アナタ、来てくれたのね。
なんだか、侘しくてねえ。

洗濯物を片付けて、母の足をマッサージして、
そうこうしているうちに、集団リハビリの時間。


さてと、これから、一階でリハビリするからね。

じゃあ、トイレへ行きたいけれど、帰る前に
行くわ。

あらら、始まった、帰るコール。

こういう場合は、聞こえないふり。


その日のリハビリは、短めの20分。
これでも、集中したほうになります。

ユニットに戻る際、言い出しました。

帰る前に、アタシ、トイレへ行くからね。

これも、またまた、聞こえないふり。


ユニットに戻ると、リビングにはミック君の
お母さんとヒデコさんが、定位置に座っていま
した。

トイレを済ませた母を、ミック君のお母さんの
隣に座らせると、

ねえ、アタシ、帰るんでしょ?

これには、答えるほかないので、

これから、お食事だからね。

で、アナタはどうするの?

部屋を片付けてから、帰るよ。

アタクシがそう言うと、母が金切り声を出し
ました。

アタシ、帰りたいのよっ!!
すると、ヒデコさんが母に向かって、

誰もが帰りたいのよ。ここに居る人、全部よ。

諭すように、言ってくれました。

あなたもなの?

そうよ、あたしだって帰りたいっ!!

それっきり、母は黙ってしまいました。
ヒデコさんのナイス アシストでした。


012

ミック君のお母さんは、認知症ではない年齢
相応の状態の方です。

一人では何も出来ないから、ここに居ると言い、
帰りたいとはおっしゃいません。


おっかさん、アータも一人では何も出来ないし、
娘も24時間、アータのお守りはできへんのよ。