アタシは、こんなところに一生閉じ込められて
いるのよ。

ついさっき、「ここは緑が多くていいわぁ」
だなんて言っていたのに。

母のこの言葉には、聞こえないふりをして、
返事をしませんでした。

おっかさん、一生というけれど、そんなに長く
ないと思うよ。


今日の開口一番は、

アタシはこれから、帰れるのね?

今日は車で来ていないし、お泊りするんよ。

じゃあ、アナタも泊まるのね?

ちゃう!!と否定したい気持ちを押さえて、

そうや、あたしも泊まるから。

よかった!、安心したわ。
置いていかれると思ったもの。

おっかさん、その通り、置いていくんや。
ほんま、楢山節考、そのものやね。


いつものように、1時間ほど、母と一緒に居て、
おやつとともに、母を食堂へ置いて帰るのです。

母が申しました。

アタシを置いていくのね。

ママは病人さんなんや。
この間、熱が出たときは、去年、死にかけたと
同じ症状やったんよ。

ここには、看護師さんもいるし、お医者さんも
すぐに駆けつけてくれる。

栄養も気を付けて貰えてるんよ。

寝たきりになりたくないし、死にたくないやろ?


母は、うん、死にたくないとアタクシの恫喝に
怯えて申しました。

じゃあねと手を振り、ユニットのドアを出ると
アタクシはホッとするのです。

そして、施設を出て、バス停に向かう道では、
解放感いっぱいで、それこそ、ルンルン気分。


おっかさん、あなたの娘は、やっぱり鬼娘や。

003

数学、いやいや、算数からして苦手なアタクシ。

事務をお手伝いしている会の決算書作り。

そんなに収支がないのに、なんと3日もかかり
ました。