病院の待合で、いつも、他人様からの視線を感じます。

いえね、あたくしが美人だから、というわけではございません。

あら、ちょっと、申してみただけ。ジョーダンでございます。

なぜなら、声がデカイ。
それに、母に向って威圧的に話すからでございましょう。

だって、聞いてくださいまし。

病院の順番待ちの間に、家のなかにいるよりも、
色々と思いだしているようでございます。

〇郎(長兄の名前)は元気なの?

はあ?一週間前に来たやんか!

潔(次兄の名前)は元気?

だから!さっきも車のなかで話題になったけど、
死んでしまったんよ!

次兄は、一昨年、突然にくも膜下出血であっけなく亡くなりました。
その時、母は誤嚥性肺炎を起こし、高熱を出して寝込んでおりました。
入院中だったので、あえて次兄の死を知らせずにおりました。

半年以上も経ってから、母に亡くなったことを話ました。
ほんの5分ほど、メソメソと泣くのでございますが、
すぐに忘れてしまいます。

死を悼むより、母が気にするのは、
アタシ、お葬式へ行った?

だから!アータは生きるか死ぬかの重症の肺炎やったんよ。
参列できるわけないやん!

ま、こんなお話を耳の悪い母と大声で致しますので、
前に座っていた方が、振り返るのは無理はございません。

 



こんな調子で、まず、息子達のこと、孫達のこと、
孫の数人はすでに、記憶から消えておりますけど。

これまた、4年前に亡くなった伯母のこと、
母の昔の同僚のこと、

等、一人ずつ、名前を出して、あたくしに消息を聞くのが、
病院での会話でございます。