ねえ、胸のしこりが随分と大きくなっちゃったけど。


時々、入浴時に思い出したように母は申します。

入浴の介助をするのですが、背中は流してあげるのですが、
前は母自身が洗います。すると、引っかかるのでしょう。


確かに、2年前はピンポン玉より少し小さかったですね。
誤嚥性肺炎で入院したときに、癌であることが判明しました。

生体検査をしてもいいけれど、全身麻酔で行えば
認知症が進む恐れもあると言われ、治療せずの道を選びました。

最初は、それが乳がんであることを極力言わないように
努力致しました。


しかし、或る日、言い争いになり、あたくしが思わず、


アータはさっ、認知症なんよ!!


と叫んでしまいました。


なんでよ、アタシは認知症なんかじゃあないわよ。
その証拠でもあるの?


いつもの顔を真っ赤にし、目を三角にして吊り上げて
迫って参りました。


そこで、退院時に、地域連携医あての診断書を見せました。
しっかり、「右胸乳癌」と記されてましたのよ。


あっちゃー、これはマズイ・・・・

すると、母がそれを見て申しました。


あ、ほんと、認知症ってあるわね。
アタシ、認知症なの?


母の中では、「認知症」であることのほうが大きく
「癌」という言葉には反応は致しませんでした。


「癌」より、プライドだったんですね。


以後、胸のしこりを、しきりと気にする場合は、


アータのは、がんもどきやから。
お医者様は死亡原因は癌ではなく、
感染症がきかっけなるって言わはったからね。
大丈夫!!


と申しますと安心するのでございます。


「がんもどき」
いい言葉です。


がんは検診で早期発見されても、その時点で
転移が潜む「本物」と、転移しない「がんもどき」に
分けられます。
本物は基本的に抗がん剤で治らず、
手術はがん細胞の増殖を速める恐れがあるから
治療は無意味です。
「もどき」は転移しないから治療の必要がありません。

こちらの本から。


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